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「ウザイ」って何? |
「うっとうしい」「面倒くさい」「気持ちが悪い」など精神的な不快感を表す言葉です。以前お伝えした「シロシイ・シャーシイ」に対応する、若い人たちを中心に使われている若者言葉と言えます。
福岡市及びその周辺地域出身の大学生に次のような質問をして、それぞれ使っている言い方を選択肢から選んでもらいました。質問1は「シロシイ」の(1)の意味「うっとうしい」、質問2は「シロシイ」の(2)の意味「面倒くさい」に当たります。
質問1.一週間以上雨が降り続いたようなときに感じるうっとうしい気持ちを何と言いますか。
質問2.雨の日の夜にお父さんを駅まで迎えに行かなければならないときに感じる面倒くさい気持ちを何と言いますか。
| 質問1(うっとうしい/103名) |
| (1) |
ウザイ |
66% |
| (1) |
ウットウシイ |
66% |
| (3) |
シャーシイ |
34% |
| (4) |
ウザッタイ |
26% |
| (5) |
セカラシイ |
18% |
| (6) |
シロシイ |
5% |
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| 質問2(面倒くさい/129名) |
| (1) |
メンドイ |
72% |
| (1) |
メンドークサイ |
38% |
| (3) |
シャーシイ |
36% |
| (4) |
メンドッチー |
26% |
| (5) |
ウザイ |
22% |
| (5) |
セカラシイ |
22% |
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・・・ |
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| (9) |
ウザッタイ |
8% |
| (10) |
シロシイ |
3% |
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若い人たちの間では「シロシイ」はほとんど使われなくなっていますが、「シャーシイ」はまだ使われています。しかし、「ウザイ」は「うっとうしい」の意味では一番よく使われ、「面倒くさい」の意味でも「シャーシイ」に迫ろうとしています。
「ウザッタイ」という言い方も使われていますが、これは「ウザイ」の元の形です。福岡では「ウザイ」と同じく若者言葉ですが、上のように主役の座はもう「ウザイ」に譲っていますね。若者言葉における変化の速さを物語っています。
うじゃうじゃ???
「ウザイ」の語源を考えるとき、「ウザウザト」という室町時代に出来た『日葡辞書』に掲載されている擬態語が参考になります。これは「たくさんの虫や小魚などが動くさま」などを意味しますが、この「ザ」を「ジャ」に替えると「ウジャウジャト」となって今日につながりますね。
Uzauzato. ウザウザト
たくさんの虫や小魚などが動くさま。また密集するさま。
『日葡辞書』(1603?1604年刊) |
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「ウザウザト」を構成する「ウザ」という要素が核となっている「ウザツク」「ウザッコイ」「ウザッカシイ」などの言葉が江戸時代の文献に見られます。文献には見られませんが、この「ウザ」に、「くすぐっタイ」「野暮っタイ」「厚ぼっタイ」などに見られるタイという語尾をくっつけて、「ウザッタイ」が生まれたと考えられます。
その後、「ナウイ」「ダサイ」「キモイ」などのように形容詞として一般的な3音節の言い方に引かれて「ウザッタイ」から「ウザイ」という省略した言い方が生まれ、定着しました。
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どこで使われとうとかいな? |
「ウザッタイ」という言い方は、東京・多摩地区の伝統的な方言として使われていました。そのときは「濡れた畑に入ったような不快な感じ」「芋虫・毛虫・蛇などを見たときの感じ」を表す言い方だったようです。それを若者たちが聞いて、新鮮に感じて使い始めますが、このとき「うっとうしい」「面倒くさい」などに意味を変化させました。
1970年代には東京都内で「ウザッタイ」という言い方が観察されています。その後1990年代に東京の言葉としてメディアにのって、全国へ広がっていったと言われています。
「ウザッタイ」から「ウザイ」への変化も多摩地区では早くに起こったらしく、「ウザッタイ」のすぐ後を追うように都内に入り、その後全国へ広がったようです。
一般に若い人たちは方言を使わないで共通語を使うようになったと言われます。しかし、共通語が優勢になってくると、かえって伝統的な方言が新鮮に感じられ、また自分たちの気持ちをうまく表すことの出来る言い方なら一層好まれて使われるようになります。「ウザッタイ」「ウザイ」はそんな好例と言えますね。