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タマゲル・タマガル

~っ!!
(ビクッ)あ~タマガった!

「タマゲル・タマガル」って何?
共通語の"驚く""びっくりする"を意味します。

な、なんと!語源は「魂消(たまきゆ)る」???

物に驚くことを 東国にて・たまげると云・・・
津軽にて・動転したと云
出雲にて・をびえると云又肝をつぶすと云
びっくりしたなどいふ詞は諸国の通語也・・・
薩摩にては・たまがると云
案に 東国にていふ たまげるは源氏に魂消ると有 けるは消也・・・
『物類称呼』(1775年)

『物類称呼』という江戸時代の方言辞典があります。この時代の各地の言い方が示してありますが、その一つの項目に「物に驚くことを」という見出しで、各地の「驚く」を表す言い方が記されています。「タマゲル」は「東国」「土佐の西境」、「タマガル」は「薩摩」の言い方として出てきますが、この項目の最後の方に「たまげるは源氏物語に魂消(たまきゆ)ると有・・・」とあります。つまり、驚くことを魂が消えるようだと言ったのがなまって「タマゲル」になったという説明なんです。有力な語源説の一つと言えますが、ちょっと説明不足なところがありますね。
文献の上では「タマギル」が平安時代の終わり頃から見られ、次に「タマガル」が室町時代の終わり頃から見られます。そして「タマゲル」は江戸時代の前半と、一番新しいのです。「魂消(たまきゆ)る」が語源ではありますが、「タマゲル」までにいろいろな言い方があるんですよ。

 どこで使われとうとかいな?
伝統的な方言の世界をみますと、「タマガル」は九州全域で使われています。全国的に見ても九州固有の言い方です。「タマゲル」は九州の隣接地域にあたる、山口県・広島県・島根県・四国の高知県西部・愛媛県などのほか、山形県・福島県・新潟県・関東地方のほぼ全域でも使われています。九州よりも京都に近い地域で使われていることから、「タマゲル」の方が「タマガル」より新しい言い方であることが分かります。なお、九州出身の大学生を調査すると、「タマゲル」は平均して2割くらいの人が使っていますが、「タマガル」はもう殆ど使う人がいない状態です。
東北地方では「ドウテンスル」という言い方をします。『物類称呼』では「津軽」の言い方と記されていましたね。「動転」という漢字の当てられる言葉で、話し言葉の世界である方言で、このような中国語を源とする漢語が使われているのは珍しいですね。
そして、中間地域にあたる近畿地方や中部地方では「ビックリスル」が広く使われています。この広さのためか『物類称呼』では「諸国の通語」としています。
まとめると、この「ビックリスル」を中心にその周りが「タマゲル」、その外側で九州では「タマガル」、東北では「ドウテンスル」が分布していることになりますね。