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サイ

サイ出たら、人が多して迷子になりそうやったばい。
本当は迷子になったっちゃなかとね?

「サイ」って何?
方向を表す助詞と言いまして、共通語で"へ"や"に"に相当する言葉です。
"天神サイ行く"や"あっちサイ行く"というような使い方をします。

「サイ」の語源は「様へ」「様に」
語源は、名詞「サマ」(様)という言葉に助詞「ヘ」もしくは「ニ」のついた「サマヘ」「サマニ」だと言われています。
「サマ」(様)という言葉は、普通には人の名前につけてその人物に敬意を表す接尾語として使われています。しかし、本来は"様子"という意味を表す名詞で、「様にならない」「様を作る」などの言い方は現在でもしますよね。歴史的には名詞として奈良時代から使われていた古い言葉なんですよ。
それが平安時代(11世紀頃)から名詞のあとにつけて"方面・方向"を表す接尾語としての用法も出てきました。『更級日記』には「京さまへなむ来ぬる」と出てくるんですよ。その後、室町時代になって今日使われる人の名前などにつける用法が生まれてきますが、それと入れ替わるようにこの用法が京都では衰退していきます。

 どこで使われとうとかいな?
「サイ」という言い方だけではありませんが、九州はほぼ全域、特に福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・鹿児島県で盛んです。ここでは「サイ」という言い方で代表させましたが、「サン」「セー」「サネ」「シネ」などの言い方も使われています。一方、遠く離れた東北では「サ」という言い方が使われています。この九州と東北の言い方は、上で説明しましたが、室町時代以降京都で衰退した「サマヘ・サマニ」を語源とし、それぞれの地域で変化していったものです。これは、「バトテ(モ)」からなまって、九州で「バッテン」と東北に「バッテ」として残っているとお話したのと同じ現象ですね。
なお、この「サイ」も伝統的な方言の世界の言い方ですが、30代・40代くらいの方でも使われることがあります。