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「ゴト・ゴタル」って何? |
基本的には共通語の助動詞「ようだ」「そうだ」「らしい」などに当たる言い方です。以前お話しした「ゲナ」と重なるところがありますが、まず共通語の意味の枠組みからおさえていきましょう。
| (1) |
伝聞(話者判断) |
そうだ
ようだ
らしい |
先輩が言ってたけど、あのお店、意外とおいしいそうだよ / ようだよ / らしいよ。 |
| (2) |
伝聞(他者判断) |
そうだ
らしい |
天気予報によると、明日も雨が降るそうだよ / らしいよ。 |
| (3) |
伝言・伝達 |
そうだ |
おばさんから電話があってね、明日も一緒に行けるそうだよ。 |
| (4) |
様 態 |
ようだ
らしい |
雲の流れからすると、午後には雨が降るようだね / 降りそうだね。 |
| (5) |
推 定 |
ようだ
らしい |
あの様子だと、彼女、約束したこと、忘れてるようだね / らしいね。 |
| (6) |
推 量 |
だろう |
冷えてきたから、明日は雪になるだろうね。 |
| (7) |
婉曲な断定 |
らしい |
週末だから窓口が混んでるらしいね。 |
| (8) |
比 況 |
ようだ |
この暑さ、まるで真夏のようだ。 |
| (9) |
希 望 |
たい |
夏休みには海に行きたいなあ。 |
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この意味の枠組みで三井郡北野町のお年寄り(70歳・男性)を調査した結果が、次の表です。(1)~(9)の意味を表す「ようだ」「そうだ」「らしい」などを含む、上に示したような例文を複数示して、それぞれ何と言うかを答えてもらいました。枠の幅の違いがそれぞれの意味の中で「ゴタル」「ゲナ」などの答えられた例文の割合に対応しています。
ご覧のように、意味によって「ゲナ」「ヤロウ」や何も助動詞を付けない言い方(N)の方がよく使われることがありますが、(4)様態「雨ん降るゴタルね」・(7)婉曲な断定「混んどるゴタルね」・(8)比況「真夏んゴタル」・(9)希望「行こゴタル」では「ゴタル」がよく使われています。このように意味によって使われ方(枠の幅)に違いがありますが、(1)~(9)すべてで何らかの形で「ゴタル」が使われていることに注目してください。
| (1) |
伝聞(話者判断) |
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| (2) |
伝聞(他者判断) |
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| (3) |
伝言・伝達 |
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| (4) |
様 態 |
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| (5) |
推 定 |
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| (6) |
推 量 |
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| (7) |
婉曲な断定 |
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| (8) |
比 況 |
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| (9) |
希 望 |
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◇田中千晶の調査(2004)による
このように複数の意味を一つのことばで表す言い方は、これまでお話したものでは「コマイ」「クル」がありましたね。九州ではよく見られる現象で、九州らしい表現の一つと言えるでしょう。みなさんも上の例文を使って「ようだ」「そうだ」「らしい」などの部分をどのように言うか調べてみてください。
動かざること山の如し・・・
古語の助動詞「如し(ゴトシ)」が語源です。「ゴトシ」は、「同じ」を意味する名詞の「ゴト」と形容詞語尾の「シ」が複合した言葉です。九州などの「ゴタル」はこの「ゴト」に「アル」がくっついて「ゴトアル」となり、それが変化して「ゴタル」となったと考えられます。
ただ、伝統的な方言として「ゴタル」も例外でなく、若い人になるとだんだん使われなくなっています。北野町の調査でも、(4)様態・(7)婉曲な断定ではまだ少し「ゴタル」が使われていますが、「ミタイダ」「タイ」(希望)を含め、全般に共通語形が増えています。
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どこで使われとうとかいな? |
九州を中心に、山口県の一部でも使われています。地域によっては「ゴツ」「ゴテ」「ゴチ」「ゴトアル」「ゴター」などの言い方をするところがあります。