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ロード・トゥ・パーディション

名優ポール・ニューマンが83歳で亡くなってもう3ヶ月が経とうとしている。今年の物故者の中でも一際残念な思いを感じた人も多いのではなかろうか。このところ各局で追悼としてたくさんの出演作が放映され、特に古い作品が見られる機会が増えた。複雑な心境にはなるが、まとめて観られるのは実は嬉しかったりもする。昨年は俳優引退宣言を出したりして、すでに第一線を退いた形にはなっていたが、劇場用作品に役者として関わったのが、この『ロード・トゥ・パーディション』である。役柄はトム・ハンクス演じるマフィアの殺し屋を、自分の息子以上に可愛がるボス。アイルランド系組織という設定で、クールな表情の中に熱い情念をたぎらせた人々が多い中、特別な存在感を持った大物を演じていた。でも正直に言うと、年を取ったなあとある種の感慨も起させる役柄と演技ではあった。

1930年代の雪の降るイリノイ州の町。2人の息子の良き父親として家庭を営むマイケル・サリヴァン(T.ハンクス)には、町を牛耳るアイルランド系マフィアの幹部という裏の顔があった。マイケルはボスのジョン・ルーニー(P.ニューマン)から息子のように愛され、マイケルの2人の息子にも実の孫のように接する。そんな父ジョンに対する実子コナー(ダニエル・クレイグ)の思いは複雑だった。ある日、組織の幹部会でコナーは失敗をジョンに責められ、精神的に追い詰められたコナーは、サリヴァンに対する嫉妬と憎悪を膨らませ、家族を巻き込んで命を狙う。ここから殺し屋同士の壮絶な逃亡と追跡の日々が始まるのだった・・・。

殺し屋が息子と二人で追っ手から逃亡する姿から、ギャング版「子連れ狼」として話題になった。親子の情ということに関しては、この二人の他、マイケルとジョンの擬似親子関係や実のルーニー親子など、さまざまな男同士の関係が描かれる。殺伐としたシーンの多い作品だが、マフィアの世界を描くと必然的に家族の物語となるのは『ゴッドファーザー』の例を挙げるまでもないだろう(その意味では以前ご紹介した『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』は家族の影がほとんど現れない例外的作品かも)。監督のサム・メンデスは、前作の『アメリカン・ビューティー』で病める現代アメリカ人家族の物語を皮肉っぽく描いており、そのときほどではないにせよ、血縁関係とその信頼、裏切りといった問題を引続き問いかけているようにも見える。

この映画の見どころは、まず男優たちのそれぞれの演技合戦だ。主役の二人はもちろんのこと、コナー役のダニエル・クレイグ(007の新作公開も楽しみ)や、殺し屋のジュード・ロウも必見。特にロウの異様なメイク顔は強烈だ。次にこちらも亡くなった名撮影監督コンラッド・L・ホールによるカメラワークがすばらしい。アカデミー賞ではP.ニューマンの助演男優賞を含めた6部門のノミネートだったが、受賞したのは撮影賞だけ。その栄誉にふさわしい映像で、雨のシーンではその飛沫がこちらにかかってくるかのような臨場感と光の加減に感嘆する。ハイビジョン映像で観るのが最も楽しみな作品のひとつである。


フジマルタカユキ
1960年熊本生まれ。
中学生時代にテレビ洋画劇場にかじり付いて映画の魅力にハマる。ジャンルにこだわらないが、特に好きなのはマカロニ・ウエスタンかも。小・中学生の3人の子供たちを映画ファンにすべく画策するも道半ば。でも最近の作品って刺激が強くて子供に安心して観せられるものが意外と少ないような気もするのですが・・・。 本職は私大職員です。

ロード・トゥ・パーディション
2002年/アメリカ/監督:サム・メンデス
c 2002 DreamWorks L.L.C. and Twentieth Century Fox Film Corporation.
  40ch ムービープラス
  240ch
放送日時 12月18日(木)23:30、12月25日(木)18:45、12月31日(水)23:30
大恐慌時代のシカゴを舞台に、アイルランド系マフィア幹部とその息子の姿を通じて、ギャング世界の掟と、父と息子の絆を描く人間ドラマ。監督は『アメリカン・ビューティー』のサム・メンデス。
トム・ハンクス、ポール・ニューマン