以前本欄で別の作品をご紹介したときに(『ターミネーター』だったかな)、「B級の娯楽映画でもときどきびっくりするような面白いものがある。例えば『トレマーズ』とか・・・」みたいな形で名前を出した本作が、今月はムービープラスで放映される。忘れもしないが『バック・トゥ・ザ・フューチャー3』との二本立て併映で観たとき、「こっちの方が断然面白いじゃないか!」とびっくりしたものだ。後で知ったのだが、プロデューサーがやっぱり『ターミネーター』や『エイリアン2』のゲイル・アン・ハードだった。トレマーとは地面の振動や震えを意味する。タイトルだけ聞いてもピンと来ないが、DVDやビデオのパッケージを見ると一目瞭然だ。地中から突然現れて人間を襲う突然変異の巨大蛇(というよりほとんどツチノコ)との死闘。これは陸上版『ジョーズ』そのものである。製作も同じユニバーサルなので、確信犯的姉妹編かもしれないが。
スピルバーグの本家の方は動物パニック映画の最高峰として君臨する名作だが、たくさん作られた亜流作品の中でも、とくにカルト的人気を今でも保っているのが本作。なぜかというと舞台がネバダ州の砂漠地帯で、住民が数えるほどしかいない田舎町での死闘というのがなんとも味わい深い(?)。ツチノコ・モンスターたちは凶暴で死者も結構出るのだが、地中を高速移動中にコンクリートの溝に激突して死ぬなど少々おバカである。登場人物たちの慌てぶりも何となくあんまり緊張感が伝わってこず、戦い方も行き当たりばったり。敵に足音を聞かれないよう岩のうえを棒高跳びで移動するシーンののどかさなど快い脱力感で満たされる。後半に大活躍するのが武器マニアの夫婦というのも爆笑ものだ。そう、これはモンスター・パニック・コメディともいうべき独特の味わいがあり、B級カルトの傑作として十分な資格を持つといっていい。ヒロインに全く華がないのがまたそれらしいではないか。
主演のケヴィン・ベーコンはまだ有名になる前で、やんちゃで血の気の多い若者ぶりが映画のテイストにぴったり。悪役が多くなった後年よりこのころを懐かしむファンは少なくない。兄貴的存在の相棒フレッド・ウォードも妙に芸術っぽい作品よりよっぽど適役だと思う。監督のロン・アンダーウッドはその後『シティ・スリッカーズ』や『マイティー・ジョー』のようなメジャーな作品も撮るようになったが、最近はやや不調の様子。本作ではモンスターの造形や特殊効果にいいところを見せただけに、もっと期待したいところだが、CG全盛の時代にあってはこのころの(製作は1989年)まだ手作り感のある作風を保ちながらでは受けないのだろうか。なお、この後テレビ作品あるいはビデオ映画として続編が3本作られたのも、本作の根強い人気を物語っている。