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2001年宇宙の旅

世界の名画歴代ベストテンなんて企画があると必ず上位に選出される必見の作品が大みそかに放映される。こういう名作で一年を締めくくるというのも悪くない(そういえば昔は大みそかのゴールデン・タイムに大作のノーカット放映をよくやっていた。「大脱走」とか「タワーリング・インフェルノ」とか・・・)。99年に「アイズ・ワイド・シャット」を遺して世を去ったスタンリー・キューブリック監督によるSF映画の金字塔(月並みな表現だが)である。

アーサー・C・クラークの小説を映画化するにあたり、キューブリック監督は原作の説明的な部分をどんどん省略していったそうだ。おかげで映画は一見関係なさそうに見える3つのエピソードからなる難解な作品となった。「ツァラトゥストラはかく語りき」をバックに始まる有名なオープニングからいきなり類人猿の世界へ。平和に暮らしていた彼らの前に突然黒い石柱(モノリス)が現れる。恐る恐る手を触れた彼らはある日武器(動物の骨)を手にし、争いの末敵を殺す。歓喜の声を上げてその骨を高らかに放り投げると、一瞬にして宇宙飛行の世界へとタイムスリップ。月面に現れたモノリスを探査機が操作するが、突然耳をつんざくようなノイズが響き渡る。場面は変わって木星探査機ディスカヴァリー号の内部。乗務員が意思を持ったコンピューターの反乱に遭遇するが、何とか機械の支配を逃れ、木星(?)に不時着。船長がそこで目にしたのは死の床に伏した年老いた自分と、またしてもモノリスだったが・・・

原作者はセリフが極端に少なく内省的な作品になったことが不満だったらしい。深読みすればいくらでも深読みできることから、さまざまな評論文が書かれてきた作品だが、まさしく監督の意図どおり、解釈よりも体感を求められる映画である。公開当時は決して万人から高い評価を得られたわけではないし、「宇宙の旅」なんてのんきな邦題に惑わされると唖然とするかもしれない。ゆえに、これは子供のときに観るのはもったいない映画でもある。少なくとも高校生、大学生くらいになってから初めて体験するのがちょうどいい。私個人は大学2年のとき、記念すべきテレビ初放映の時が初見だった。あまりの衝撃に放映後にひっくり返った記憶がある(これ本当)。ここでは深読みの一例などには踏み込まず、まずは体感されることをお勧めする。他の映画では決して味わえない感覚に驚くことだろう。映画観、芸術観が変わるかも。
映像の特殊効果も今となってはかわいいものだが、技法云々よりも映像センスのユニークさでこれに匹敵するものはそう多くないはずだ。映画が新しい表現方法を獲得し、大衆娯楽を超えるようになった60年代後半を代表する作品である。


フジマルタカユキ
1960年熊本生まれ。
中学生時代にテレビ洋画劇場にかじり付いて映画の魅力にハマる。ジャンルにこだわらないが、特に好きなのはマカロニ・ウエスタンかも。小・中学生の3人の子供たちを映画ファンにすべく画策するも道半ば。でも最近の作品って刺激が強くて子供に安心して観せられるものが意外と少ないような気もするのですが・・・。 本職は私大職員です。

2001年宇宙の旅
1968年/アメリカ=イギリス
監督・脚本:スタンリー・キューブリック(「時計じかけのオレンジ」「アイズ・ワイド・シャット」)/2時間23分
人類の進化の鍵を握る謎の石版モノリスを巡るSF映画の古典的名作。巨匠キューブリックが描く壮大な映像叙事詩。原作・脚本はSF小説の大家 アーサー・C・クラーク。
ケア・デュリア(「2010年」「アライバル ファイナル・コンタクト」)
ゲイリー・ロックウッド(「裏切り部隊」「ザ・スケアクロウ」)
ウィリアム・シルヴェスター(「破壊!」)