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出席者
監督:山田洋次
原作:野上照代
出演:吉永小百合(野上佳代役)、浅野忠信(山崎徹役)、志田未来(野上初子役)、佐藤未来(野上照美役)
まもなく太平洋戦争が始まろうとする1940年の東京を舞台に、慎ましくも懸命に生きた家族の絆を描いた「母べえ」。長年に渡り黒澤明監督のスプリクターを務めた野上照代が、幼い頃の家族の思い出を綴った私小説を「たそがれ清兵衛」「武士の一分」の山田洋次監督が映画化した。
今回、主演の吉永小百合、浅野忠信、志田未来、佐藤未来、原作者の野上照代、山田洋次監督の華メンバーが来福。会場には多くのマスコミや関係者が詰めかけ、ゲストの話に熱心に聞き入っていた。
Q.昭和の初期にこだわられた思いとは?
監督:あの時代は学校に行っても先生は怖かったし、隣組の近所のおじさんは怖かったし、窮屈な時代だったなと。あの時代に比べたらいろんなことはあっても今のほうがいいに違いないと思うんですけど、世界的に見ても日本人は充足感が足りないと感じている。なぜそうなのか?と、この映画を見た後でお客さんが少し考えるきっかけになってくれれば嬉しいなと思います。
Q.ご自身の原作が映画化されての感想を聞かせてください
野上:私は自分でも運のいい女だと思っていたんですけど、まさかここまで運のいい女だとはおもってもいませんでした。私のつたない作文のような素材をこんなに素晴らしい作品に作ってくださって本当に感謝しています。当時、私は小さかったもので今になって改めて「うちの父親も大変だったんだな」と感心している次第です。きっと父も感謝していると思います。
Q.海で溺れる山ちゃんを助けるシーンは、吉永さんの得意な水泳を活かして織り込まれたのですか?
監督:物語が重いテーマで家族のやりとりが主ですから、思い切って解放的な広い場面が必要だったんですね。父親の代わりに山ちゃんが子供たちを海に連れて行くという場面を作れば海をたっぷり映せるし。山ちゃんは兵隊には一番不向きな男で、繊細で優しくてしかも力がなくて泳げない。そんな山ちゃんが母べえに助けられるのは面白いんじゃないか、そして吉永さんは水泳が上手だから可能じゃないか、そんな形であのシーンは考えました。
Q.吉永さんの泳ぎっぷりはいかがでしたか?
浅野:吉永さんが助けてくれるということで安心して溺れることができました(会場爆笑)
吉永:あのシーンは波打ち際から走って海へ飛び込むので、とにかく失敗ができないんです。だから一回でOKになったので良かったです。奄美大島で撮影したんですけど、海の水がとっても綺麗ですごく爽快な気持ちになりました。本当は浅野さんはとても泳ぎが上手なんですよ(笑)
Q.佳代を演じて母親とはこうあって欲しいと思われたことはありますか?
吉永:母べえは、いつも子供たちの身体のどこかに触れているんです。今はそういうシチュエーションがとても少なくなっているのではないでしょうか。もっと触れ合って子供と向き合っていると違う面で子供と心が通うのではないかと思います。あの時代のお母さんはとても忙しいんですが、子供と一緒に生きていたと思います。
Q.山ちゃんの佳代への思いは複雑に入り混じっていますね。
浅野:母親を早くに亡くした山ちゃんは、佳代さんを通じて母親を思い出したり考えていたりしたんだと思うし、ひとりの女性として恋しているのかというのを気づいていたと思います。そんな複雑な気持ちは自分の中でも面白いなと思っていました。ただ、吉永さんといると普通に恋をしてしまうんですよ(会場笑)。そこはもうずうずうしく山ちゃんの気持ちに盛り込ませていただきました(笑)
Q.黒澤監督の下でお仕事をされていた野上さんから見た山田組の現場はいかがでしたか?
野上:山田さんの組は昔の撮影の仕方が唯一最後の砦のように残っている現場だと思います。機材(ハード)がどんどん変わっていっていますから撮影も変わっていくのはしょうがないと思うんですけど、やっぱり作り方が違いますね。黒澤さんとは違って、現場でシナリオを完成していくようにアドリブを含めてみんなと一緒に作っていく様子は見ていて楽しかったし、すごい才能だと思いました。
Q.撮影現場で一番思い出に残っていることは?
志田:休憩時間に吉永さんや浅野さんが紙風船で遊んでくださってすごく楽しかったです。
佐藤:私も吉永さんと…
監督:吉永さんじゃなくて“母べえ”って呼びなさい(笑)。
佐藤:えっと、母べえと(会場笑い)シャボン玉を飛ばして遊んだりしたことが楽しかったです。
| 劇中で大半を占めるのが母べえと二人の娘たちとの暮らしぶりである。真面目でしっかり者の長女と元気でおちゃめな次女。娘たちの個性をちゃんと把握し、母べえはたっぷりの愛情を注ぐ。その温かな関係は会見のときも見受けられ、緊張しながら質問に答える娘たちを心配そうに見守る吉永さんは、本当の母親のようである。また、ユーモラスで心優しい山ちゃんを演じた浅野さんも「吉永さんに恋していました」と、すっかり吉永・母べえに魅せられしまったみたいだ。
山田監督はかつての日本にはあった、今の日本に必要なことを強いメッセージを込めて描いている。黒澤監督の現場を見てきた野上さんが太鼓判を押した山田監督の「丁寧に作られた昔ながらも映画作り」も存分に味わって欲しい。 |
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