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出席者
監督:堤幸彦
出演:中谷美紀(森田幸江役)
原作者:業田良家
無口で乱暴者。気に入らないことがあるとすぐちゃぶ台をひっくり返すイサオ。そんな夫に健気に尽くす幸江。4コマ漫画でありながら“泣かせる”と大絶賛された業田良家の漫画『自虐の詩』。「ケイゾク」「トリック」でそれぞれコンビを組んだ堤幸彦監督×中谷美紀×阿部寛のコラボにより実写映画化が実現。
「嫌われ松子の一生」の松子とは一味違った不幸な女・幸江を演じた中谷美紀、次々と話題作を世に送り出している堤監督、福岡出身で原作者・業田良家が来福し、“ちゃぶ台返し”の撮影秘話など語ってもらった。
Q.舞台を東池袋から大阪にしたのはなぜですか?
監督:いろんな大都会がありますが、大阪の新世界辺りの独特な雰囲気は二人が生きるには丁度いいロケーションじゃないかと。たぶんイサオと幸江は携帯電話も持っていないだろうけど我々よりも大きい幸せを持っているんじゃないかと。それを表現するには大阪の新世界の街が必要だなと思いました。
Q.今の時代に四畳半的な作品を作る理由とは?
監督:最新の製品をたくさん持っていたり、金持ちであることが幸福の価値だと言われている時代に、身の回りの数メートルの間で幸せを感じている二人の存在と言うのは、今の時代に必要な存在だと思うし、いいテーマだなと思ったからです。
Q.出来上がった作品を見た感想を聞かせてください。
業田:すごく面白い映画だなと思いましたし、僕のために何億円もかけて撮ってくれたんじゃないかと思うくらい好きな映画です(笑)。漫画の世界観をすごく大切にしてもらっているなと感じましたし、プロデューサーの上田さんの情熱からはじまって、監督や中谷さんたちの解釈が入って、僕の漫画がより豊かなものになったことが嬉しかったです。

Q.何度もちゃぶ台をひっくり返されてもイサオに尽くす幸江をどう思いながら演じていましたか?また、イサオにとって幸江はどんな存在だと思いますか?
中谷:幸江のようにイサオに尽くす彼女の強さや大きさに憧れます。幸江は幸せを求めて続けて、ふと休んだ時に心の中に幸せや愛があることに気づいたんじゃないでしょうか。演じるにあたっては、虚栄心とか自分を大きく見せようとか、そういったことを一切排してそこに漂う空気を取り込んでただ吐き出すという作業を行っていました。イサオにとっての幸江は、自分の気持ちを言葉にできず、自分が幸江を守ってやれないもどかしさから物に当たってみたりするんですけど、でもかけがえのない存在だと思います。
Q.見事なちゃぶ台返しはどうやって撮影したのですか?
監督:撮影する前、じつはこんなに上手く飛ばないだろうと思っていたんです。最初はCGでやろうかとも思ったんですが、雰囲気がでないんですね。“ガチャーン”という音を聞かないとちゃぶ台返し感が非常に薄い。やはりリアリティを追求せねばと思い、阿部寛さんに何度もセットの裏で狙ったところにご飯が飛ぶように練習してもらい(会場爆笑)、その後ほぼ一発本番で全パターンやりました。ちゃぶ台返しはイサオの不器用な愛情表現でもあります。
Q.CGは全くないのですか?
監督:ほんの一部です。さすがにネズミはいないですから(会場爆笑)。ほぼ9割はリアルなものです。“ガシャーン”は時間にすると1秒くらいなんですよ。で、中谷さんは1秒の間に4つくらい芝居をされるんですね。ものすごい動体視力です(会場笑)。
Q.幸江と親友の熊本さんの少女時代のエピソードが素晴らしくて感動しました。特に熊本さんを演じた子役の存在感はただものではないというか(笑)
業田:おっしゃるとおり、彼女の存在感がすごくてあの存在感にひきつけられて納得させられるところが大きかったです。やっぱりそこが映画の力で、漫画が表現できないところですね。エピソードは漫画の方が分量が多いんでけど、2時間の中に収めるために細かい配慮がしてあるなと思いました。
監督:あの二人の子役を起用するのはクランク・イン直前まで反対されたんですが、僕の中では勝算があって1ヶ月くらい2人は阿部さんと中谷さんの芝居を見てもらっていたんです。コツコツと芝居を作ってもらって撮影したんですが、僕も新鮮でしたね。
| ノーメイクで鼻の脇にでっかいほくろをつけた幸江を演じ、同一人物とは思えない美しさが眩しい中谷美紀さんは、幸江を演じるまでの心の葛藤を丁寧に答えられている姿が印象的だった。原作者の業田さんは「僕のために作ってくれた」と作品の出来に大変満足されていたご様子。作品によって全く違った世界観を作り出す堤監督は、漫画やアニメの世界だった“ちゃぶ台返し”を見事に映像化し、ギャグ満載の貧乏コントかと思いきや、幸江とイサオの純愛、少女時代の幸江と熊本さんの珠玉のエピソードでグッとくる。
小さな幸せと愛あるビンボーの世界にどっぷりと浸って、この秋は心ゆくまで泣いてみよう 。
映画「自虐の詩」
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