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出席者
監督:
出演:藤田まこと(岡田資(たすく)中将役)
第二次世界大戦終了後、B戦争犯として裁判にかけられ、米軍の無差別爆撃の違法性を訴え、たった一人で裁判を戦い抜いた岡田資(たすく)中将。大岡昇平原作の「ながい旅」に感銘を受けた が、構想約15年、満を持しての映画化である。主人公・岡田中将を演じるのは11年ぶりの映画主演となる藤田まこと。岡田中将が命をかけて我々に訴えかけたものは何だったのか?
Q.岡田中将役を藤田さんにと思われた理由は?
監督:非常に直感的なものなんですね。藤田さんの積み重ねてきた経験をこの映画の中で活かしていただけたらという強い思いと希望を持ってお願いしたんですけど、想像以上の岡田中将像を表現してくださいました。この作品に関わってくださったことを感謝しています。
Q.小泉監督の演出はいかがでしたか?
藤田:私は「順撮り」の経験があまりないんですが、今回は冒頭からラストシーンまで順を追って監督が撮ってくださいました。それも1シーン1カットの撮影方法で。私は役に入る時間がかかる役者で、そういう意味で撮影の初日から少しずつ岡田中将のほうから私の身体の中へ入ってきたような感じで演じていました。

Q.岡田中将の魅力とは?
監督:大岡昇平さんが書かれた「ながい旅」に惹かれたというのが一番なんですが、大岡さんが惹かれた岡田中将を一生懸命知ろうと思ったんです。シナリオを書き、映画を撮り、なお且つまだ岡田中将のことを知りたいと思いました。
藤田:ひとつのグループの長としてきちっとした責任の取り方、それと部下に対する愛情ですね。そして家族への愛。私はこの作品は大きな愛の物語だと、そんな捉え方をしました。
Q.アメリカ人の俳優との共演のエピソード。
藤田:今回、生まれて初めて劇中で英語のセリフを言ったんですよ。監督のOKが出ているのに、共演したフレッド・マックイーンが私の前で指でバッテンをするんです。「私はアメリカ人じゃないんだからそんなに英語を話せない」といったら、「ミスター岡田は、若い頃ロンドンの大使館付の武官でちゃんとした英語を話していたんだから、我々のヤンキー・イングリッシュを話してもらったら困る」っていうんですね。それから英語の先生と一からやり直して…という苦労がありました。
Q.ほとんどが法廷シーンなのですが、演出でこだわられたところは?
監督:大岡さんの原作をどう活かそうかと一生懸命考えて、そのために法廷シーンだけでなんとか映画を仕上げられないかと思いました。それには自由に撮影できるセットが欲しかったので、日本で一番大きな東宝のスタジオにセットを組んで、順撮りするためにカメラがどこからでも入れるようにしました。それは全部スタッフが黒澤監督に教えていただいたもので、そういう積み重ねや雰囲気がフィルムに反映されているのだと思います。
藤田:裁判長から見た被告席のアングルのシーンで、一番後ろの小さな部屋に同時通訳が二人いるんです。ちゃんと衣装を着てですね、全シーンその同時通訳が通訳をしてくれているわけです。劇中で姿が映ったことが一度もないんですが、そういう細やかな演出に幸せで胸がいっぱいになりました。

Q.最後に岡田中将が裁判長に向かって自分の思いを述べるシーンに深く感動しました。どのような気持ちで撮影されていたのですか?
藤田:「やっとこれで終わったな」という感じと、裁判長を見ていたら私の部下の減刑は間違いない、裁判長の顔を見ていたらそういう顔をしてくれたんですね。その嬉しさといいますか、あのシーンはそういう気持ちでいっぱいでした。それから、米兵を斬首して「それは無差別爆撃に対する報復か?」という質問がありますね。岡田中将が「報復ではない、処罰である。」といいます。そこで裁判は終わったんですね。報復は限りがありません。それで今アメリカは苦しんでいるんですから。いったん上げた手は下ろさなくてはならない、岡田中将は手を下ろしたんだと私は思います。
Q.東京国際映画祭で岡田中将の息子さん夫婦が映画をご覧になったそうですね。
監督:「岡田家の家宝にする」と言っていただきました(笑)。藤田さんがお風呂に入っているシーンで、「本当に父親のようだった」といっていただいたときは本当に嬉しかったですね。
藤田:(劇中で)傍聴席にいた孫が実際に私の目の前に現れたので、なんか不思議な気がしましたね(笑)。
| 会場は終始和やかムード。黒澤監督の助監督を長年務められた小泉監督は、黒澤監督のご自宅にもよく行かれていたらしく「黒澤監督は“必殺仕事人”が大好きだった」と藤田さんとのつながりを感じさせるエピソードを披露。また、藤田さんは「戦争で死んだ兄のためにも頑張らなくては」と本作の出演に運命的なものを感じたという。
戦後の混乱期、自らの戦争犯罪を潔く認め、なおかつ最後まで自分の信念を貫き通した岡田資(たすく)中将の姿は、戦争を知らない若い世代にも訴えかけるものがある。見終わった後、爽やかな感動に包まれる美しい日本映画だ。 |
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