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「地下鉄(メトロ)に乗って」合同記者会見レポート
 
         

読む人の琴線に触れ、自然と涙があふれだし “稀代のストーリー・テラー”と讃えられる直木賞作家浅田次郎。彼の作品が数々と映画化される中、1995年、第16回吉川英治新人賞に輝いた「地下鉄(メトロ)に乗って」が万を辞して映画化となった。
地下鉄を降りて階段を上がると、そこはオリンピック開催に沸く昭和39年の東京。真次は恋人みち子とともに過去へ戻りそこで若き日の父と出会う。そこで知るみち子との切ない運命・・・。
真次の恋人・みち子という重要な役を演じた岡本綾さんの合同記者会見が行われ、作品に対する思いを聞いてきました。

Q.みち子役はいかがでしたか?

岡本:監督と「この人は本当に芯の強い女性だね」と話していました。見えるパワーではない、彼女の内に秘める強さをちゃんと表現できたらいいなと思っていましたし、本当に先生の原作を読んでいらっしゃる方の期待を裏切らないようにと、監督ともよく相談をして取り組みました。

Q演じる上での苦労などありましたか?

岡本:「タイムスリップが大変だったのでは?」とよく聞かれるんですけれども、みち子は現在に生きている人間で、昭和30年代の町並みをもちろん知らないし、戦争中の日本の様子も知らないので、あえて予備知識をいれずに見たまま、感じたままを表現してくれてかまわないよと(監督から)言っていただいたので、単純に人を好きになるということを大切に演じさせていただきました。

         

Q.他の3人の役柄とは違って、みち子は役柄的に抑える部分が多くあったと思うのですがいかがでしたか?

岡本:感情を表に出さない事が難しいと言いますか、岡本綾として、みち子に「どうしてもっとそこでパワフルに一言いえないの!?」とか、「態度で示せないの!?」と言うモヤモヤはずっとありました。でも今までも、感情を表に出す役というよりは、感情を内に秘める役をやらせていただいてきたので(笑)。
ただ、私が今まで出会った役の中で最年長の27歳なので、大人の女性として今までと違う秘め方を表現しようと。今回は、それはひとつクリアできたと自分の中で思っています。

Q.みち子と岡本さんは結構ギャップがあるように見えるんですけれど・・

岡本:そのとおりです(笑)

Q.(笑)彼女との共通点を探していくのは難しかったのでは?

岡本:そうですね彼女をどこから探っていこうかと・・。彼女の強さは、あの時代を生きた母から譲り受けているものがあると思いますし、私にはまだないなと思いますので、どこから彼女を切り崩していったらいいんだろと。
ですが、人を好きになるって言う事は誰にでも経験ができて、誰にでも分かる気持ちだなと思ったので、今回二ヶ月間本気で真次に私は恋をしようと思って取り組みました。唯一共通していることはそこだけかもしれないなと思います。

         

Q.この作品は、“親子の愛”、“男女の愛”、“兄弟の愛”など様々な“愛”が描かれていますが、その中で特に岡本さんの心にしみた“愛”はなんですか?

岡本:みち子目線で考えますと、“男女の愛”に引き付けられますが、家族の間に生まれる愛は無償の愛である。ということをすごく感じましたので、作品を通して私は“男女の愛”っていうよりも、“家族の愛”の方がテーマとしては大きいのかな?と感じます。

Q.まったく知らない昭和30年代を疑似体験(?)されてみて、いかがでしたか?

岡本:町の中に丸い物が多かったのかなと思います。牛乳ビンだったり、電話ボックスだったり。自転車のフレームもなんとなく丸かったりして、昔の人は柔らかくて、他人という感じではなく町全体が家族化している暖かい雰囲気を感じました。
私も実際に、両親以外の方に育てていただいた部分がたくさんありますので、人と人との繋がりが近くにあって、それで人が育てられているんだな。と感じていました。
昭和に対して暖かいイメージや、どこか懐かしい気持ちにさせられるのは、そういう体験があったからでは?と感じています。

Q.この作品では父親の過去を知っていくのですが、岡本さん自身も、ご両親の過去など気になりましたか?

岡本:そうですね。母親と父親の顔は見ていますが、男と女の顔は見ることが出来ませんし、もっと言えば子どもの頃の母と父を見ていないので気になるというか、もし見ることが出来るのであれば、見てみたいなと思いました。

         
Q.実際にお話されました?

岡本:どういう恋愛をしたのかというのは学生の頃に聞いていましたが、逆に今回、どんな時代を生きてきたのか?と言う事にすごく興味を持ちましたので、「小さい頃はどんな感じだった?」という話はしました。

Q.印象に残った話はありますか?

岡本:長屋に住んでいたと聞いて、とてもびっくりしました(笑)。
生活が本当に苦しくて生きることが大変だったっていうことを、今回の作品で感じましたし、母の口から聞いたのが一番衝撃的で、リアリティがあって、私はすごい人から生まれてきたんだなと感じました。

Q.これから映画を観る皆さんにメッセージをお願いします。

岡本:4人主人公がいますので、誰に注目して観るかによって、4パターン物語を楽しむことが出来ると思います。今は結婚していない方々も、いつか親になった時にはまた違った見方で楽しんでいただける作品なので、是非一度劇場に足を運んで、タイムトリップを体験していただきたいなと思います。10年20年、もしくは30年40年。長く皆さんの心に残ってくれればいいなと思います。

         

大先輩と競演し、「力のなさを実感した」と話していた岡本さんですが、みち子を言葉ではなく、目で、体で表現し、儚さと強さを持つ女性を演じきった岡本さんは十分すばらしい俳優だと思います。
「愛する人のためにあなたはみち子と同じ選択ができますか?」
この答えを探しに、是非劇場に足を運んで下さい。そしてそれぞれの心に答えを出して欲しい。そんな気持ちになる作品です。

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