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靖国 YASUKUNI

監督:リ・イン
出演:刈谷直治/菅原龍憲/高金素梅
('07日本・中国/ナインエンタテインメント)123分

公式オフィシャルサイト

 

シネテリエ天神

ふだんは静かな靖国神社だが、毎年8月15日になると様々な人々が集まってくる。大きな国旗を掲げ、英霊や天皇を称える者。旧日本軍の軍服に身を包み、ラッパの音に合わせて行進してくる一団。「天皇陛下万歳」を叫ぶ者、戦没者集会に現れる議員たち、歌われる「君が代」、そしてそれに抗議の意を唱える近隣諸国の若者…。一方、神社のご神体である日本刀「靖国刀」を作る刀匠にもカメラを向ける。日本人が知っているようで実は知らない「靖国」とは…。
人間の記憶ほどあやふやなものはない。特に戦争についての記憶はそれぞれの国を中心に解釈されるため、さらにややこしくなる。本作は、日本在住19年の中国人監督、リ・インが10年に渡って「靖国」をテーマに取材をおこなったドキュメンタリーだ。
8月15日の靖国神社に参拝に来る人々をとらえた映像は、毎年TVのニュース番組などでよく目にする光景もある。非常に奇妙な空間であり、そこに集まるエネルギーは口では表現できない異様な熱さを感じる。戦後60年たった今でも、「靖国」だけは時が止まっている、そう思わずにいられない。
そしてリ・イン監督は、「靖国刀」の最後の現役の刀匠に目を向ける。靖国神社のご神体である日本刀(靖国神社によるとご神体は神剣と神鏡)に対する思いの違いを感じさせる。ただ黙々と刀作りに従事する刈谷さんに、リ・イン監督が靖国について質問をぶつけるシーンが印象深い。困ったような顔をして沈黙する刈谷さん。その沈黙にどんな思いがあるのかと考えさせられるのである。