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ぐるりのこと。

監督:橋口亮輔
出演:リリー・フランキー/木村多江/倍賞美津子/寺島進/安藤玉恵/柄本明
('08日本/ビターズ・エンド)140分

公式オフィシャルサイト

(c)2008「ぐるりのこと。」プロデューサーズ

シネ・リーブル博多駅

小さな出版社で女性編集者としてバリバリと働く妻・翔子(木村多江)と、法廷画家の仕事に戸惑いながらも記者として働く、頼りない夫・カナオ(リリー・フランキー)。そんな2人に、小さな命が宿る。そして翔子は、カナオと共に子を授かった幸せを噛みしめていた。だが、そんなどこにでもいる夫婦を、突然の悲劇が襲う。初めての子供の死をきっかけに翔子は、精神的に追い詰められ、うつに陥ってしまう。だが、そんな翔子をカナオは全身で受け止め、困難に直面しながらも夫婦の絆で乗り越えていく…。
前作『ハッシュ!』が国内外で絶賛された橋口亮輔監督6年ぶりの新作。
完璧主義の妻・翔子と女にだらしないカナオ。冒頭での二人の夫婦の会話のシーンが抜群に面白い。男と女のかみ合わなさが絶妙なのだ。そして、この後に待っている困難に二人で乗り越えていく姿は見るものに深い感動と愛を与えてくれる。
初めての子供を亡くした翔子が、少しずつ心を病んでいく。橋口監督自身がうつ病になった経験から生まれた物語だからなのだろう、翔子の心理描写の表現が見る者の心を揺さぶる。翔子を演じた木村多江もまさに体当たりの演技というか、彼女はまさに“翔子”であった。
それ以上に驚くのがカナオを演じたリリー・フランキーだ。何があっても翔子を受け止める飄々とした風貌の中に感じる強さ。声を荒げることもなく、慈愛に満ちた眼差しで翔子を見守る。プロの役者も嫉妬するほどの演技に唸った。
また、本作では法廷画家のカナオの目を通して、90年代のさまざまな犯罪・事件を織り込んでいる。誰もが知っているあの犯罪者を演じた俳優たちが豪華なメンツばかりなのも驚いた。間違いなく今年を代表する1本。