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ホワイト・プラネット
監督:ティエリー・ラゴベール/ティエリー・ピアンタニダ
ナレーション:ジャン=ルイ・エティエンヌ
('06
フランス・カナダ/東北新社、コムストック オーガニゼーション)83分

公式オフィシャルサイト
(C)2006 Gedeon Programmes - Bac Films - Glacialis Productions Inc
- France 2 Cinema - Office National du Film du Canada

KBCシネマ1・2

ヨーロッパ、ユーラシア、アメリカの3大陸を繋ぐ、海に浮かぶ氷の王国、北極。165万年前の氷に覆われた厳しい自然の中で多くの動物たちが生を営んでいる北極が今、地球環境の変化により消えようとしている。
マイナス50℃の極寒の中、産み落とした子供を命がけで守り、傷ついた氷の世界へと旅立たせるホッキョクグマ、神秘の牙でメスをめぐり闘うイッカク、繁殖地とエサを求め1000キロの危険な旅に挑むカリブー、氷河期の生き残りジャコウウシの壮絶な縄張り争い、生まれてわずか3週間で親から離れ、大洋に泳ぎ出る子アザラシ。彼らはやがて消え行く世界の中でも懸命に、次の世代へ命をつなごうと逞しく生きている…。

地球上のもうひとつの惑星“北極”。マイナス50℃の極寒の地という厳しい自然環境のなか、多くの動物たちが生を営む…とばかり思っていた。この映画を見るまでは。
ところが、映し出されるのは極寒の冬から春、夏、秋、そして冬へと四季の変化の中で生きる動物たちと壮大な大自然の姿であった。真っ白な銀世界のイメージが強い(と思い込んでいる)北極の知られざる姿を思う存分堪能できる素晴らしいドキュメンタリーである。
映画が始まった途端、いきなりすごい映像が目の前に映し出される。雪を削って作った巣穴で、メスのホッキョクグマが2頭の子供を産み落とす。手のひらよりも小さな子グマを愛おしそうに抱える母グマという感動の名シーン。このシーンは、警戒心の強いホッキョクグマがさらに神経過敏になるため、事前に巣穴に赤外線カメラを設置し、来る日も来る日もクマが現れるのを待って撮影された非常に貴重な映像である。
このホッキョクグマを中心に、いろんな野生動物の営みが紹介される。前頭部の浮き袋を膨らまし縄張りを主張するズキンアザラシ、海のユニコーンと呼ばれるイッカク、水面に巨大な泡の輪を作り出してエサを密集させ、大きな口で一気にエサを呑み込むザトウクジラ。こういった楽しい映像の一方で、自然界の厳しい弱肉強食もきっちりみせる。
そんななかで、一番印象的だったのがセイウチの授乳のシーンだ。体の大きいセイウチは授乳を氷の下の水の中で行う。子供をまるで敵から守るように抱きかかえ、子供に乳を与える。母と子の深い愛情が映像からヒシヒシと伝わってくる。
しかし、その北極が地球環境の変化によって消滅の危機に瀕しているという現実も忘れてはならない。融けかかった氷の上をおそるおそる歩くホッキョクグマの姿が、しばらく頭の中から離れなかった。