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明日の記憶
監督:堤幸彦
原作:荻原浩(光文社刊)
出演:渡辺謙/樋口可南子/坂口憲二/吹石一恵/木梨憲武/及川光博/渡辺えり子
('06
日本/東映)122分

公式オフィシャルサイト

(C)2006「明日の記憶」製作委員会

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広告会社の営業マンとして働く佐伯雅行(渡辺謙)は、時に家庭を返り見ないほど仕事に没頭してきた。50歳を前に、大きなプロジェクトと娘(吹石一恵)の結婚を控え忙しい日々を送っていた雅行は、ある日、原因不明の体調不良に襲われる。
ミーティングを忘れたり、部下の顔が思い出せず、知っているはずの街が、突然”見知らぬ風景“に変わっていく。心配になった雅行は病院を訪れ、医師から「若年性アルツハイマー病」の診断を受ける。そんな雅行を、懸命に受け止め、慈しみ、いたわる妻の枝実子(樋口可南子)。彼女は共に病と闘い、来るべき時が来るまで彼の妻であり続けようと心に決める…。

第18回山本周五郎賞を受賞した、荻原浩の同名小説の映画化。渡辺謙がハリウッド滞在中にこの小説と出会い、強く感銘を受けた彼がぜひ映画化したいと熱望。自ら企画を持ち込み、エグゼクティブ・プロデューサーとして製作にも参加。意外な話だが、渡辺謙は本作が映画初出演である。
働き盛りの広告営業マン・佐伯雅行を突如襲った「若年性アルツハイマー病」。物忘れが多くなり、スケジュールを勘違いし、会社の同僚の名前と顔がわからなくなる。それまで当たり前だった日常や風景が記憶から消えていく。その雅行の未知なる恐怖を映像化するのは、「トリック」「ケイゾク」の堤幸彦。トリッキーな映像作家のイメージが強いが、アルツハイマー病という重いテーマを、誠実で淡々とした演出で語りかける。しかし、得意先の会社への道順がわからなくなった雅行を携帯電話を使って会社へ誘導していくシーンや、昼食のシーンで同僚の顔が判らなくなった雅行を、まるでサスペンス映画を見ているような緊張感をお得意の映像マジックで見せてくれる。
雅行とのアルツハイマー病との闘いが始まり、妻・枝実子は夫を献身的に支える。渡辺謙は、病状が進行していく雅行を全身全霊で演じきっている。妻・枝実子を演じるのは樋口可南子。どんなことがあっても夫を支え、時折みせる感情の起伏が、深い悲しみとなって伝わってくる。
映画のラスト、恋人時代に通っていた窯元で、雅行がまるで胎児のようにうずくまって眠っている。朝になり、雅行を探しに来た枝実子を見たときの雅行の“表情”が忘れらない。そして、そんな夫を見た枝実子の絶望と、それでも彼を受け入れる彼女の愛に心の底から感動した。