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監督:小栗康平
出演:夏蓮/登坂紘光/浅野忠信/坂田明/大久保鷹/田中裕子/平田満/坂本スミ子/岸部一徳/他
('05日本/ファントム・フィルム、「埋もれ木」製作委員会)93分
■公式オフィシャルサイト
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| (C)2005「埋もれ木」製作委員会 |

山に近い小さな町で暮らす高校生・まち(夏蓮)は、ある日、女友達と短い物語をつくり、それをリレーして遊ぶことを思いつく。紡がれる物語の連鎖は未来へ向かう夢。一方、町に暮らす大人たちにも過去の歩みが作りだした現実の物語がある。二つの物語が平行して進み、それぞれのなかで何かが合流し始める。
ところがある日、大雨が降った後、町のゲートボール場の崖が崩れ、地中から“埋もれ木”と呼ばれる樹木が姿を現す。火山噴火によって立ち木のまま地中に埋もれていた古代の森だ。埋もれ木の森に町中の人々が集い、カーニバルが開かれる。紙灯籠が空へと上がり、地底の森に木の葉が舞い落ちて、ファンタジーな世界が開けていく…。
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『眠る男』から9年、小栗康平監督の最新作は、現実の世界を舞台に生身の人間たちが演じるファンタジー。
これといったストーリーはなく、次の展開も読めない。見る人によっては非常に退屈でわけがわからないという感想を持つ方もいるだろう。分かりやすい感情表現、目に見えるものだけですべてを判断し、問題が発生してもちゃんと答えが用意されている。そんな商業性ばかりが強調されている映画が占める今の時代に、小栗監督は、言葉では表現できない“感覚”を刺激する作品を撮り続ける稀有な映像作家だと思う。
夜のシーンが美しい。埋れ木の森に人々が集まり、ラクダがやってきて、赤い馬が夜の空へ浮かび上がる。雨上がりの道端に反射した色鮮やかなトラックの鯨、夢という意味のトンパ文字。ひとつひとつが絵画のようで、子供の頃、絵本を見ていろんなことを想像し、わくわくしていた感覚が甦ってくる。
大人も子供のそれぞれ悩みを抱えながら、個別の違いを越えて感情が束ねられていくラストの祭りのシーンがいい。特に答えがあるわけでもなく、あやふやだけど不自由は感じない不思議な空気に包まれる。
心地よい時間の流れにずーっと浸っていたいと思わせる魅力的な作品。
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